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ジェフリー・カッツェンバーグがモバイル向け短尺動画で新しい挑戦へ

 

 

 

DreamWorks AnimationをNBCUniversalに38億ドルで売却し、自らもCEOを退任したジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)。退任後は6億ドルを調達してWndrCoという会社を立ち上げたことまでは知っていたんですけれど、その後どうなったか調べるといろいろと暗躍しているようですね。

 

どうやらカッツェンバーグは、ミレニアル世代をターゲットにしたモバイル向けの短尺動画という領域で、もう一度大きな挑戦をしようとしているみたいですね。プライムタイムに放送されるような番組の予算規模で、10分以内の短尺動画を、プラットフォーマーと組みながらモバイル向けに展開するという構想。プリロール/ミッドロール広告はなく、プレイスメントなど動画内に広告が統合されているような形式を想定しているようですが、この取り組みのためにカッツェンバーグは20億ドルの資金を集めていると報じられています。立ち上げ時期など詳細は不明。

 

短尺動画という領域自体は全く新しいものではありません。BuzzFeedのTastyやCNNのGreat Big Storyなどが始まるずっと前から、ウェビソードやモビソードという名前で似たような取り組みが繰り返し行われてきました。ただ、広告による収益で費用を賄おうとすると、どうしても予算規模が小さくなってしまいました。記事によれば、モバイル向けの動画の予算規模は1分あたり5,000ドル-10,000ドルというのが標準的なサイズ。ただカッツェンバーグは、これをプライムタイムなみの1分125,000ドルまで引き上げていきたいと考えているようです。

 

ちなみにWndrCoという会社は、600億ドルも調達して何を始めるのかと思ったら、どうやらVimeo・Tinder・Expediaなどを傘下にもつIAC/InterActiveCorpのような会社を目指しているみたいですね。で、IACを率いているのはバリー・ディラー(Barry Diller)という人物。もともとParamount Picturesの会長だった人で、彼のアシスタントとしてParamountに入社したのがカッツェンバーグだったんですね。

 

そして、その時にParamount Picturesの社長だったのが、後にWalt Disney Co.の会長兼CEOになるマイケル・アイズナー(Michael Eisner)。カッツェンバーグはその後アイズナーが率いるWalt Disney Co.に移籍して、低迷していた当時の映画部門のトップに就任するんですよね。そして就任中に生み出したのが、第二の黄金期を築くきっかけとなった「リトルマーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ライオンキング」などの名作。個人的には「ロジャー・ラビット」も好きですが。何にしても、まさに立役者です。

 

その後アイズナーと対立してWalt Disney Co.を離れることになるんですが、それがまたきっかけとなってDreamWorks SKGが立ち上がるわけですね。SKGとは、つまりスティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)・ジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)・デヴィッッド・ゲフィン(David Geffen)のこと。DreamWorks SKGのアニメーション部門をカッツェンバーグがリードするわけですけれども、そこで生み出したのが「シュレック」や「カンフー・パンダ」などの人気シリーズ。何が起きるか分かりませんね。

 

その後作品がヒットせずスタジオ経営が不安定な状況に陥ったりもしていましたけど、AwesomenessTVなどを買収したこともあって、モバイル向け短尺動画という新しい領域に可能性を見出していたのかもしれません。何だか脈略がなくなってしまいましたけど、今後の動きが気になります。