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メディアとテクノロジーの交差点

「セサミストリート」のIPを持っているSesame Workshopをもってしても、HBOとのディールがないと経営的には厳しい?

 

 

Sesame Streetを製作するSesame Workshopは、あれだけのIPを持ってしても、HBOとの5シーズン分の契約がなかったら持続的な経営が立ち行かないくらいの状況みたいなんですね。

秋以降HBO・HBO Go・HBO Nowで新しいエピソードの展開をスタート。過去150時間分のアーカイブの配信権、英語とスペイン語の放送権、Sesame Street Muppetの製作、その他オリジナル番組の製作も含まれているようです。ちなみに年間製作費は4000万ドル。

尚、HBOでの放送9ヶ月後にPBSでも放送されるみたいですが、そのライセンス費は年間製作費の10%を占める程度。DVDの販売数は減り続け、配信ではカバーできていない状況のようです。

マーチャンダイジングは、エルモの玩具などが好調で年間製作費と同じくらいの売り上げがあるものの、直近数年のトレンドとしては玩具は売れなくなってきているみたいです。子どもは移り気ですし、やはりインタラクティブな玩具へとトレンドはシフトしてるのかもしれません。

Netflixはオリジナルの子ども向け番組を複数製作しているので、HBOとしては悪くないディールだったのではないかなと思います。

あと全然知りませんでしたが、Sesame WorkshopってNPOなんですね。

BuzzFeedに見る新興メディアと労働組合の関係について

  

先日のVice Mediaのライターがユニオナイズする話もそうだけど、ギルド(労働組合)に加入するのは、ある種の成長痛みたいな気もするし、いよいよ従業員への手当や福利厚生の駆け引きが活発に。

確かに、組合活動をするということは、従業員の職務を明確に規定しないと交渉できないわけで、指摘しているように会社のダイナミクスや柔軟性に欠け、動きが鈍くなるリスクは大きいのかもしれない。何をやっているか分からないけど、とにかく始めないと答えは出ないっていうような環境で働く場合、いちいち役割なんて固定化できないし。

ユニコーン企業とは言え、メディアのランドスケープなんて、今後いかようにも変わる可能性があるわけだし、会社の競争力が落ちたら、従業員(組合員)も困るわけだし。或いは、新興メディアは、その冠を外す時が来たのか。

 

Netflix初のブラジルにおけるローカルプロダクションはオリジナルドラマ「3%」

Netflixがフジテレビや吉本興業らと一緒に進めている日本向けのローカルプロダクション、各国でも同じような案件が進んでいますが、今回は初のブラジル向けのオリジナル作品。

ドラマのタイトルは「3%」で、内容はデストピアン・スリラー。プロデュースはBoutique Filmes、監督は映画「City of God」の撮影監督だったCesar Charlone。2016年頭にUltra HD 4Kで配信。

企画が固まった経緯は分からないですが、この企画は2011年にBoutique FilmesがYouTubeにアップした3本のパイロット版がもとになっているという点も興味深いです。

 
 

 

 

AT&TがDirecTVの統合承認を機に早速サービスのバンドル化へ

AT&TDirecTVの統合がFCCの承認を得るや否や、早速バンドル化。通信会社と衛星/CATV、その他OTTサービスのバンドル化はどんどん進むことになりそう。DirecTVの契約者は米国・カリブ海周辺・中南米で5500万件、AT&TのU-verse TVが今年1月で7.4万件。ちなみにNetflixはおよそ6000万件。

 

Netflixがラテンアメリカ市場向けに全編スペイン語の政治ドラマ「Ingobernable」を製作

Netflixは参入した国に向けたオリジナル番組のローカルプロダクションを推進しているわけですが、今回はメキシコを舞台にした全編スペイン語で作られる政治ドラマ「Ingobernable」の製作が決定。全20話。製作はメキシコのARGOS COMUNICACIÓN。撮影は来年早々。配信は来年後半にNetflix独占。ローカルプロダクションの一環だけど、メキシコだけでなく、移民が多い米国も含めたラテンアメリカ市場に全体に向けた作品という位置づけ。本作に先んじて、8月に全編スペイン語のコメディドラマ「Club de Cuervos」も配信予定。

 

 

Netflix参入前にAmazonがインドで動画配信サービス立ち上げへ

インドでAmazon Instant VideoとAmazon Primeが立ち上がると報じらています。時期は今年後半。もう後半なので、年末までにという感じでしょうか。

Amazonは既にインドに参入済みで、今後データセンターと物流センター拡張を優先して投資。その一方Netflixが来年インドに参入すると言われている中で、それよりも先に動画配信事業を始める模様。昨年12月にはSony Entertainment Networks Indiaのニューメディア担当EVPだったNitesh Kripalaniを採用、本件を推進しています。

インドでは現地企業が既に動画配信事業をスタート。インド最大の映画スタジオEros Internationalが自社の動画配信サービスErosNowを展開しており、加入者は1900万人。あ、エロスって言っても、AVじゃないですよ。

あと今年5月にWarner Bros.Sony Pictures・シンガポール通信最大手Singtelが共同でHooqという新しい動画配信サービスを開始。主要スタジオと現地の作品がラインナップされていて、月額199ルピー(3.20ドル)だそうです。

しかし、私としては「スラムドッグミリオネア」と「深夜特急」で感じとったインドの印象しかないんですが(行ったことないので)、実際どんな感じなんでしょうか。いろいろ気になります。

 

 

北欧のメディアグループMTGがYouTubeMCN世界5位のZoomin.TVの株式51%を取得

 

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スウェーデンを拠点に10ヶ国で無料放送を展開し、ラジオや有料放送やオンライン配信も手掛ける北欧のメディアエンターテイメントグループMTG(Modern Times Group)が、世界で5番目に大きいYouTube MCNのZoomin.TVの株式51%を取得したと発表。

月間20億再生、登録者は1億人。YahooやAolを含めた2000のパブリッシャーを抱えています。過去5年平均36%ずつ毎年売上が伸びており、2014年は70%成長。

創業はアムステルダムで2002年で、YouTubeが立ち上がる前から存在していた古参の会社。オフィスはロンドン、ブリュッセル、パリ、デュッセルドルフハンブルグマドリッドバルセロナ、ミラノ、マイアミ、ロサンゼルス、メキシコシティサンパウロモンテビデオケララ

MTGは、スウェーデン発のYouTube MCNのSplayの株式も買い増して81%保有。また世界最大のeスポーツリーグElectronic Sports League(ESL)を展開するTurtle Entertainment社の株式74%も取得し、メディアエンターテイメントの事業ポートフォリオ組み替えを推進しています。

スウェーデンMTGなんて、正直全然知らなかったんですが、ここって北欧や東欧だけでなく、2008年にガーナ、昨年タンザニアで地上波放送を始めているんですよね。

自国のコンテンツを海外に売るだけでなく、海外でつくって海外で流すとか、海外の流通網を手に入れるとか、欧州は積極的です。

そういえば、日本はISDB-Tの普及とタイミングを合わせて、メディアやスタジオへの出資も進めたケースってあるんでしょうか?

 

www.mtg.com

 

中国最大の動画配信プラットフォームYouku Tudou、初の海外ドラマは韓国「Hyde Jekyll, Me」

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中国最大の動画配信プラットフォームYouku Tudou(優酷土豆)にとって初の海外ドラマ配信は、韓国の「Hyde Jekyll, Me - 하이드 지킬, 나(ハイド、ジキル、私)」という話。中国の海外コンテンツのセンサーシップの厳格さは有名な話だけれど、さすがに「初」だとは思いませんでした。この程、国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局が認めたらしいです。これだけ厳しいと、さすがにNetflixの参入も遅くなりそうですね。

 

 

Vivendiがフランス通信最大手オレンジ傘下の動画共有サイトDailyMotionを217Mユーロで買収

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フランス通信最大手オレンジ傘下だったDailyMotionを、Vivendiが217Mユーロ(約296億円)で買収したと発表。この話は前から出ていましたが、正式に発表したようですね。

Vivendiは傘下に世界最大の音楽グループUniversal Music Groupと民間テレビ局Canal+(カナルプリュス)を抱えており、買収をきっかけにOTTサービスと海外転換を加速させる模様。

Canal+は、フランスでコメディ動画を配信していたYouTube MCNのStudio Bagelを昨年買収、9チャンネル11タレントを抱えています。またCanal+自体も、Canal Factoryという自前のMCNも展開しており、既に多くのYouTubeチャンネルを運用しています。

 

 

 

 

オーストラリアのNetflix契約者数は100万件超、現地テレビ局などが展開するSVODサービスと10倍の差

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現地の調査会社Roy Morganによると、オーストラリアで展開しているNetflixの契約者は100万を超えており、現地ライバルと10倍の差がついていると報じらています。Netflixは3月24日に立ち上がったばかり。上記数字は無料期間中のユーザーも含まれている可能性があるとのこと。

 

ちなみに5月時点でペイテレビ大手Foxtelと放送局Seven Networkが立ち上げたSVODサービスPrestoは9.7万、1月に立ち上がったNine Entertainment CoとFairfax MediaのStanは9.1万、Netflix同様にもともとレンタルDVDを展開していた上場企業のQuickflixは4.3万、Foxtelが手がけるFoxtel Playは4万人。Roy Morgan Research

 

f:id:greatbeyond:20150828112704j:plain(via Roy Morgan Research | Number of Australians in May 2015 with streaming TV subscription service)

 

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(via adnews.com.au)