UNTELEVISED

メディアとテクノロジーの交差点

欧州最大のメディアコングロマリットである独ベルテルスマン、好調な業績をテコにデジタル事業を拡充

 

 

ドイツのメディアコングロマリットであるベルテルスマンが、上半期の実績が2007年以来では最高となったと発表しています。具体的には売上31.3億ドル・営業利益7.02億ドルという状況。

ベルテルスマンは、欧州最大のテレビ放送グループRTL Group、テレビ番組制作のFremantleMedia、出版のPenguin Random House、音楽のBMGを抱えおり、そのコアビジネスはテレビ放送と番組制作という旧来のビジネスに依存しています。

ちなみに、今回の業績はRTL Groupが好調だったことに加え、Penguin Random Houseから出版されたポーラ・ホーキンズの新刊「The Girl on the Train」(全米で200万部以上売れ、最速ベストセラー記録を達成)と、映画も話題となったE.L.ジェームズの「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の販売が好調だったことも要因と報じられています。

そんなベルテルスマンですが、コアは放送関連ビジネスではあるものの、昨今の好調な業績を背景にデジタル領域への大胆な投資が活発で、RTLの事業のコアをデジタルに転換させようとしています。

例えば2013年6月にはカナダのYouTube MCNのBroadbandTVに3600万ドル出資し株式の51%を取得。また2014年6月には動画広告プラットフォームのSpotXchangeに1.44億ドル出資し株式の65%を取得しています。

さらに2014年11月には女性向けファッション・ライフスタイルに特化したYouTube MCN大手のStyleHaulを1.07億ドルで買収、成長プランを支えるために追加で2000万ドル出資しています。ちなみにRTLの親会社にあたるベルテルスマンの投資部門Bertelsmann Digital Media Investments (BDMI) は、2013年の時点で既にStyleHaulに出資していました。

 

f:id:greatbeyond:20150901231817j:plain(via StyleHaul)

 

そして今年6月にはデジタル事業を集約してRTL Digital Hubを形成、ポートフォリオとグループ全体の成長を加速させていくと発表しています。さらにブラジル・インド・中国など、欧州や米国以外の成長市場にも進出し始めており、もはやたまたま本社がドイツにあるメディアコングロマリット、というような感じになっています。

ドイツで言えばProSiebenSat.1 Mediaもそうですが、投資部門との連携がとてもうまく噛み合っているように見えるので、また別途まとめてみたいと思います。