UNTELEVISED

メディアとテクノロジーの交差点

Netflixが動画配信サービスのグローバル展開と共に進めるオリジナル番組のローカルプロダクション戦略

 

 

Netflixはグローバル展開を加速させるために、フジテレビや吉本興業との取り組み以外にも各国でローカルプロダクションを推進しています。もう少し正確に書くと、各国それぞれの市場に合わせたオリジナル番組の製作というよりも、現地語で作られた番組を、当該国を中心に世界向けに配信させるという戦略と言った方が正しいかもしれませんが。

具体的な事例としては、例えばブラジル市場向けにポルトガル語で作ったコメディ番組「A Toca」を筆頭に、フランス市場向けにはフランス語で作っている政治ドラマ「Marseille」の企画が進められています。英国市場向けには、エリザベス2世と歴代首相たちとの謁見を描いた舞台作品"The Audience"を原案にしたドラマ「The Crown」が進行中。

 

 

中南米市場向けには、コロンビアの麻薬犯罪を描いたスリラードラマ「Narcos」や、メキシコの歴代興行収入の記録を塗り替えた人気映画「Nosotros los Nobles」のプロデューサーが製作するコメディ番組「Club de Cuervas」が進められています。

 

 

カナダ市場向けには、通信最大手Roger Communications傘下のテレビ局Cityと共同でドラマ「Between」の製作が進められています。ちなみに「Between」の座組みはちょっと変わっていて、Netflixは最初はカナダ以外の全世界の配信権しか持っておらず、2年目からカナダでも配信できるようになります。1年目はカナダ国内でSVODサービスを展開しているShomiで独占配信されます。

その他にもオーストラリア発のティーン向けの番組で、現在世界120カ国でロングラン放送されている「H20: Just Adds Water」という人気番組を元になって生まれた「Mako Mermaids」というオリジナル番組もあります。この辺まで来ると、別にオーストラリア向けということでもなんでもなく、オーストラリアの人気番組企画を世界に向けて配信するという感じになってきますが。

ちなみにローカルプロダクションを進めるもうひとつの理由に、現地の映画産業保護政策に貢献していることを示す必要があるということも挙げられます。そのため参入する国をロケ地として、現地のクルーを雇用して作品を撮ることで、貢献していることを示そうとしている部分もあります。これは特にフランスで顕著で、例えばドラマ「Marseille」は、パリにあるプロダクションが全編フランスロケで現地クルーを使って撮影しています。

その他、Netflixのオリジナル番組の初回配信日はNetflix Originals Premiere Datesにまとまっているので備忘録として。